特集|青森四大祭りの舞台裏

現場を知るともっと楽しい!

一度見たら忘れられない、青森県各地の夏祭り。 そこにはいろんなものが詰まっています。 極彩色な世界観。妖しげで底知れぬ迫力。 圧倒的な大きさ。そして熱狂的な参加者。 ひと言でいえば、短い夏を徹底的に楽しんじゃおう! という「情熱の爆発」なのかもしれません。 この特集では、その祭りの主役となる 山車の制作現場を訪れて、 普通は見られない 完成前の様子をご紹介します。 これを読むと、 より深く祭りを楽しめますよ。

八戸三社大祭

みんなで作る。手作りで仕上げる。その技と心意気に感動!

 八戸三社大祭は、290年余り前の神輿行列を起源とする伝統のあるお祭り。その中で最も観客を魅了する豪華絢爛で巨大な山車はどのように作られているのか? 今回、城下附祭山車組にお邪魔して、制作責任者の宮古角洋さんにお話を伺いました。
 一番驚いたのは、山車の骨組み以外ほぼすべてが手作りだということ。人形や衣装、刀や扇、岩場や建物などの舞台も、です。しかも造りが精緻で細工も細やか!相当な手間と時間を掛けられた作品の数々は、もはや芸術品。このひとつひとつが積み重なっているから、あのボリュームのある華やかさが生まれるんだなと納得です。そして観覧のポイントも教えてもらいました。人形同士の視線構成に注目すると、物語がよりドラマチックに見えてくるそうですよ。
 お披露目でご近所を回るとき、おじいちゃんおばあちゃんが沿道で拍手してくれるのが一番うれしいという宮古さん。「町のみんなで作って、みんなに愛されているお祭り」なんですね。

青森ねぶた祭

父と娘が、師匠と弟子に。 そして今は、ねぶた師同士。

ねぶた作りのスタートは一枚の下絵を描くところから。それをもとに針金で立体の骨組みを作り、和紙を貼り付けたのが写真の白いねぶたです。このあと鮮やかに色付けされていきますが、こうした工程すべてに関わるのがねぶた師と呼ばれるプロフェッショナル。現在、女性初のねぶた師として活躍する北村麻子さんに会いにきました!
 麻子さんは、ねぶた師で名人位の北村隆さん(写真・左)を父に持つことから、小さい頃すでにどういうねぶたが観客を沸かせるのかを常に考えていたそうです。その蓄積がねぶた師となった今の財産になっているのかなと想像しますが、意外なのは特に作家性を出したいとは思っていないんですという言葉。ねぶたは見る人みんなのものだから、というそのしなやかさが、あえて言えば彼女らしいのかもしれませんね。
 近年、他の若手ねぶた師も続々と台頭して存在感を示している青森ねぶたは、これからますます面白くなりそうです。

弘前ねぷたまつり

この大きな鏡絵の中で、 初めに墨を入れた所は?

 「うわー…」そんな、声にならない声が第一声。床いっぱいの大きな一枚絵の描画風景。この絵は「鏡絵」と呼ばれ、弘前ねぷたの正面を飾るもの。そのサイズは縦4.8m横6.4mにもなります。
 弘前ねぷたの山車は、扇形が主流。和紙に描いた絵を枠に貼る構造ですが、その絵を手がけるのがねぷた絵師。現在、50人ほどいる中で今回お伺いしたのは工藤盛龍さんの制作現場。冒頭のとおり、とにかく絵の迫力に圧倒された訳ですが、これだけ大きいとバランスよく描くのが難しそう…。そこで、この絵ではどこから墨を入れたのかを質問しました。その答えは中央の主人公の「眉間のしわ」! 確かに、力強さがドーンと来ますね。
 弘前ねぷたの見所を聞くと、城下町らしいしっとりした風情と、伝統を踏まえつつ絵師の個性が発揮された絵の素晴らしさをあげてくれました。正面の勇壮な鏡絵と、背面の幽玄な見送り絵の対照もぜひ味わってみて下さいね。

五所川原立佞武多祭り

高さ23mもあると、いろんな工夫が必要なんですね。

 まるで巨大なプラモデル!ここ、立佞武多の館3階の製作所には手や足のパーツがゴロゴロ。これらは最後に組み立てられます。完成時の高さが7階建てビル相当で、青森ねぶた3台分の材料が必要というスケールにも驚きますが、制作者の福士裕朗さんによると、その巨大さゆえの工夫がいろいろあるとのこと。
 例えば塗料。高さの分、観客の目に届く強い発色が求められるのでメーカーと協力して独自の「ねぷたカラー」を開発しました。特に赤にこだわったそうです。
 そして面白いのは人物の構図。ほぼ真下から見上げた場合でも立佞武多の顔がわかるように計算されたものもあるそうです。
 一度廃れたものを市民の熱意で復活させたという経緯のある立佞武多。製作所では誰でも紙貼りに参加できます。関わる人が多いことでみんなの祭りになって、想いが強くなるんだなと実感させてくれました。

体験したい

世界自然遺産 白神山地 《十二湖エリア》

世界に誇れる「ありのままの自然の森」でブナの巨木に、会いに行こう!

 世界最大級の原生的な天然ブナ林が広がる白神山地。その手つかずの森には樹齢数百年にもなるブナの巨木が点在し、中には気軽に会いに行けるものもあるんです。散策する際は、ぜひガイドの方と一緒に!世界自然遺産に登録されたこの森の豊かさ、すばらしさを優しく教えてくれますよ。

十和田湖カヌー

水面に、空と緑とみんなのワクワクが映ってる。湖との一体感にひたるネイチャーツアーにGO!

 十和田湖を訪れるなら「見る旅」だけでなく「感じる旅」をしないともったいない!オススメはカヌーで漕ぎ出すツアー。水面すれすれの目線がとっても新鮮です。野鳥の声、可憐な花の色などさまざまな命の気配が五感に飛び込んできて、心の中に大自然がたっぷりと満ちていきます。

寒立馬(かんだちめ)と灯台

のんびり自由な寒立馬たちが優しい顔でお出迎え。
気分爽快な尻屋埼灯台ならデートもきっと、いい感じ!

 レンガ造りでは高さ日本一の尻屋埼灯台。昨年、カップルの仲が深まる聖地として「恋する灯台」に認定されました。周りには寒立馬と呼ばれる馬が30頭ほど放牧されていて、気持ちもほのぼの。ちなみにこの馬たちは厳しい風雪にも耐えられる農用馬で、脚が太くずんぐりむっくり!その愛らしい姿で日がな一日の~んびり過ごす様子には誰もが癒されます。
 さらにこのあたりは太古の地形が観察できる下北ジオパークのジオサイトとして、ダイナミックな地球ロマンも体感できますよ。

  • 寒立馬(かんだちめ)と灯台
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買いたい

下北ワイン

本州最北端の気候と風土が奇跡的に生み出した、豊かな果実味と程よい酸味のエレガントなワイン

 冷涼でありながら日当たりと適度な海風に恵まれた、下北ワインのぶどう畑。粘土質の土壌のおかげか、国産では珍しい濃い色のピノノワールが誕生し、ワイン通の間でも一目置かれる存在になりました。今年は新たに瓶内二次発酵のスパークリングワインにも挑戦中。楽しみです!

南部裂織

カラフル、そして温もり伝わる南部裂織。
その伝統をつなぎ、人をつなぐのは「楽しむ気持ち」!

ハッとする「南部の赤」をはじめ、鮮やかな色彩構成が美しい南部裂織。その伝統は一度廃れかけましたが、南部裂織保存会の皆さんの並々ならぬ情熱によって復活。そしていま地機(じばた)70台が並ぶ工房はとっても賑やか!たくさんの笑い声の中、自分色の裂織を楽しんでいます。

暮らしたい

須藤勝利さん

レコードをごぼうに持ち替えてもみんなを笑顔にしたいのは同じです

 ごぼうの生産量日本一を誇る三沢市。ここでごぼう茶の製造販売に取り組んでいるのが須藤勝利さんです。八戸市出身の須藤さんですが、かつては上京して昼は洋服販売店で販売やTシャツのデザインを担当、夜はDJとして活躍していました。須藤さんが青森に戻ってきたのは2004年。地元の不動産会社に就職しますが、しばらくして会社は倒産。失業中の須藤さんが気になったのは大量に廃棄されていた規格外ごぼうでした。

須藤勝利さん

一度、県外に出た経験を持つ人はスペシャリストとして歓迎されます!

 失業中、県の雇用促進事業で三沢市の企業の実習生として働いていた須藤さん。そこで生産量日本一の三沢市のごぼうが、形が悪いというだけで毎年2、3割も廃棄されていることを知ります。「儲からない仕事だから息子には継がせたくない」。農家さんからそんな話も聞きました。もともとハーブティーが好きだった須藤さんは、この大量の規格外ごぼうで美味しいごぼう茶を作れば需要があるんじゃないか、その結果地元の農家の応援につながるんじゃないかと考えました。「地域の課題」を何とかしたいという想いが、起業の出発点となったのです。
 ただ、誰しも自分で起業するのは不安がいっぱいなもの。そんな時に応援してくれたのが、県の創業支援策でした。販売や製造のアドバイスをしてくれて助かりましたと須藤さんは振り返ります。満を持して2011年、三沢市内の昔ながらの商店街の中に会社を立ち上げます。これは商店街を応援したいという気持ちから。さらに若い人たちや障害を持つ方の就労にも積極的に取り組み、今では従業員7名の会社になっています。
 須藤さんから、「もし今県外で頑張りつつもUターンしようか悩んでいる人にはぜひ挑戦して欲しい」という応援メッセージをいただきました。「一度県外に出たことで地元に持ち帰るスキルやノウハウがあるはずで、それがきっとスペシャリストとして歓迎されますよ!」と。「僕も東京で洋服販売やDJをしてきたことが今の仕事の役に立ってるんです」という言葉には経験者ならではのリアリティがあります。県内には「地域の課題」がまだまだたくさん。その解決にチャレンジする人が増えてほしいというのが、須藤さんの願いなのです。